スカートの風 日本永住をめざす韓国の女たち

64-1(290)スカートの風 日本永住をめざす韓国の女たち
オ・ソンファ 呉 善花、角川文庫、1997、単行本は1990年

いまどきのアジア、10年も前の記述はずいぶんと古くなっていることだろう。封建的社会の変化は女から始まる。女が幸せでない社会は生き延びるはずがない。いくつか、最近見聞きしたことついて、書いておこう。

先週の土曜日・日曜日は、「第14回箱根会議」にやっと日程があって参加することができた。わたしが参加したのは日曜日の箱根での2セッション。午前中に、韓系日本人の川村さんと中系日本人の小林さんから問題提起があった。川村さんは、それなりに有名であった「李基愛」という名前にもこだわらないで日本名にしてしまうような磊落な方だが、思うところあっていまは日中韓交流に力を入れている。小林さんが提起したことは2つ。
・中国は階級文化のある国である(これは小林さんが使っているのは上下のある文化というほどの意味だと思います)。だから、適切な中国語を学び、使うようにしなければ、真の交流はありえない。
・「子」をなさない人、人を殺したような人など人の道に外れた人を「祖先」の列に加えることはしない。祖先は神だが、これらの道はずれた人々は「鬼」になる。「死んだら誰でも仏」とはならないのだ。祖先を祀る心性も、ずいぶん違っている。
特に第二の点は、小林さんは靖国神社参拝問題にからめて提起された。それぞれの国の祀り方が違うとしても、違うからこそ、配慮があっていいのではないかと。タバコが嫌いという人にわざわざ吐き出した煙を向けるような人もあるまいに、と。

わたしが、『対立から学ぼう』そして「日本型コンフリクト」研究会を通じて感じた言葉の問題が、中国にもあるのだろうと思う。しかし、
『敬語で解く日本の平等・不平等』がこれからの日本語の方向性を示したように、日本語も変わってきた。中国も変わるだろうと思う。ただ、中国では革命、文化革命の力が大きかった分だけ、反動も大きいものになるだろうし、19億の多様性は生半なものではないことは確かだ。

もうひとつは、昨日の香川県人権教育指導者育成講座での奥田均さんのお話。大学で、一人の男子学生の問題提起から「女性専用車両」についての討論が始まった。その中で、女子学生が反論していく過程で、全体としては現在の過渡的措置としてやむなしという結論に至った経緯こそが、人権についての問題提起と問題解決なのではないかということ。
いわく
・駅の階段に近いところは便利だが、それだけに混む。混むとチカンが横行する。だから時間はかかるけれど、空いている車両に乗らざるを得ない。
・快速に乗れば、早い。しかし、快速は混む。混むとチカンが横行する。だから時間はかかるけれど、各駅停車に乗っている。そのために家を早く出るようにしている。
チカンに会う、それは「かもしれない」ことでしかないし、すべての男性がチカンであるわけもない。しかし、その「かもしれない」がどれほどの恐怖につながるか、男子学生たちはようように納得したという。
すばらしい。自分の気持ちを言えることがすばらしい、と思いました。

さてそれで呉善花さんの『スカートの風』女がふふんとイキガッテ行動する、そのときにスカートが舞い上げる風のことをチムパラムと表現するのだそうだ。その日本語訳がタイトル。

なぜ、日本に韓国からの女性が、水商売しか身をたてる方法もないのに、やってくるのか。呉さんは、それを「女性の処女性」を尊ぶ文化的背景にあるという。確かに離婚率は上がっている(近年は日本並みらしい)が、再婚できない。親も離婚してきた娘を恥じる。そして韓国でもそのような女性の働き先は水商売。高い手数料を払ってでも、日本で暮らす方が、まだ仕送りなどの希望が持てる。

ちょっと、待て。そのように日本に韓国女性がやってくることがひとつの文化現象であるならば、韓国女性と結婚する男性というのも、日本における文化現象であるはずだが、さて、なぜ問題にならないのか。考えられることは、男性をたててくれる文化に引かれて結婚する男性は、いまもすでに少数になりつつある。ダブル・インカムでなければ、いい暮らしはできなくなっているという状況。従って、これから先は、韓国女性にとって日本社会は厳しい時代になるだろうということ。
それは、韓国と日本のビジネス慣行として、日本が先んじて欧米的になりつつあり、女性を接待であてがうことがへりつつあること、韓国に行っても接待として女性を期待しない慣行に移行しつつあること。それは1970年代を境にした変化だったのではないかと思う

さてさて、これらのアジアの国々、どのように変化していきますやら。基本は「女が変える」のですよ。どんな社会を望むのか、これまでを否定して空っぽにするだけではなく、「いいもの」とは何なのかをしっかりと心に思い描いて、変革していきましょうね。
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by eric-blog | 2004-11-17 11:45 | ■週5プロジェクト04 | Comments(2)
Commented by 川村受映(李基愛) at 2004-12-18 14:44 x
角田さん。
今日は。川村受映(李基愛)です。今日探し事があり李基愛を検索したらjここに飛んできました。
先日はお話もできず、失礼いたしました。
さて、上の記事ですが、呉善花さんの『スカートの風は非常に偏見が多いので、あまり参考にならないと思います。私は学生たちにあえて読まないようにとまで言っているくらいです。
それから韓国は目まぐるしく変化しています。女性を取り巻く環境も大きく変わりました。離婚率は世界3位で日本より高い。出生率は日本より低い。若い女性たちの意識の変化はITも密接に関っているように見えます。
そのうち色々とお話できる機会があれば、と思っています。
私のブログにも遊びにきてくださいね。
http://blog.naver.co.jp/cns51.do
それでは、また。
Commented by eric-blog at 2004-12-22 14:03
ご指摘ありがとうございます。呉さんの他の本も偏りを感じますね。『ワサビの日本人、とうがらしの韓国人』はさすがにひどいなと思いました。でも、たくさん本だしてますね。ここまであたらさまに日本礼賛をしてくれると、うれしいんでしょうね。
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