●6月6日 琉球新報の社説です。天皇制の元に、かり出されたあの戦争の民に対する惨さを、忘れない。
大阪府教育委員会も「条例は必要ない」と。 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-177895-storytopic-11.html おっとーーー、可決されちゃいましたか。 http://www7a.biglobe.ne.jp/~hotline-osk/seimai.html 多様なおとなが子どもの発達や社会参加に関わる「社会的養護」という考え方に賛同しているということは大前提にお聞きください。教職というものが排他的な専門性であるとは思っていません。学びが排他的ではありえないのと同じ事です。 また、現場でさまざまな努力をしている方々も存じています。感謝です。しかし、全体的な状況はあまりにも危険だと感じるので、発信します。 専門職としての教職には少なくとも以下の3つの教育とトレーニングが必要なのではないかと、考えます。 1.参加型学習の方法論とカリキュラム構成力 2.スペシャリストとジェネラリストの両面。ある一つの専攻における専門性におけるトレーニングと市民性を支える広い教養。 3.経験学習的、「反省的実践家」としての省察力。 いまの教職課程には、このような視点からの精査が行われていません。精査なしで改善・向上はありません。まずは、視点の共有、そして、PDCAのサイクルで実現性を高めていく。そのような教職教育改革が必要であるのに、それぞれの大学の思いつき改革、流行語大賞的提案の羅列でしか、いまの教育改革はありません。 いま、教職の専門性を高めるために、更新制や大学院大学などの試みがなされています。しかし、すでに教職課程そのものが、成立していない。他の学部との違いが見えない。チョーク&トークの大量生産型講義を中心とした単位の羅列でしかない。さらに、いまの大学院大学は「スペシャリスト」の養成だけに力が入っているという点で、これも、教職課程としては不十分である。それだけでなく、学校現場に「研究」を持ち込むばかりの弊害すらある。学校現場に求められる「研究」とは、反省的思考によるPDCA力の向上であって、佐藤学氏も指摘するように、はやり廃りの新たな研究課題を毎年設定することではない。 手放しで賛成することのできない状況ではあるのですが、とはいえ、大学院という高等教育のレベルは、その専門分野において、自立して思考することができる人を目指します。研究者という点では、対等に議論できる。 しかるに、今回の最高裁判決も、大阪の「免職」条例も、学校現場から「議論」をなくし、命令で動くようにしたいと言っているに等しい。 日本の学校制度は、明治時代に始まったわけですが、最初は人材不足を補う意味で師範学校もたてられました。師範学校を卒業すると尋常小学校を教えることができる。戦前の日本の学校教育は、尋常小学校は「兵隊さんを作る」標準語を理解し、洋楽になじみ、行進し、命令を聞く国民を育成するものだった。中等学校は高等教育への入り口で、エリート教育のためのものだった。 戦後も、この近代教育の根本は変わらなかったと思います。体育大会、入学式、卒業式などの儀式など、おりおりに、「整列・行進」などを導入しています。あれは、おとなになったら、どこで役にたつのやら。要するに「命令を聞く」からだを作りたいだけ。自らのからだを律するからだを作るためではない。それはすでに竹内俊晴さんが指摘してきたことです。わたしたちは矛盾したメッセージによって、自らの声すら奪われかねない時代を生きている。 一方で、高いレベルの陶冶を教員に求め、一方で師範学校卒業レベルの「命令」に従うからだを求める。 そんな矛盾したメッセージを発しているのが今日の学校です。 子どもが混乱し、面従腹背を学び、統合された自己の確立をさまたげられている。それがいまの学校だと思います。 少なくとも、いま、わたしたちが、この大震災を生き延びるのに、「釜石モデル」は1.想定は信じるな 2. 状況に応じて行動せよ 3. 率先避難者たれ の三原則を学習の勘所に据えていた。 混乱する行政、方針の定まらない対策。いまの時代を生き延びる力を与えよ! それは決して「命令」を待つ。「命令に従う」からだではないはずです。 「いまの社会政治的状況は悪である。しかし、すべてを悪であると断じても、行動は生まれない。何がもっとも危険であるかを問う必要がある。「危険」という言葉は次の行動につながる。」ミッシェル・フーコーの言葉。 いま、生きる力を育てようという時に、「命令に従う」ことを教員採用の目安とせざるを得ないような動きは、とても危険だと、思います。 近代学校教育は、近代国家の成立の基盤です。それは「想像の共同体」でしかなく、「想像の共同体」は「悪の凡庸さ」の孵卵器でもあります。 共同体の中で、人を殺すことはできないのに、想像の共同体が人を殺すことには平気でいられる。いま、「がんばろう日本」と言いながら、福島の子どもらには「100mSvでも大丈夫」という言説にさらされていても見過ごすことができる。それが「悪の凡庸さ」であり、「想像の共同体」が可能にする「権力的沈黙」であり「愚鈍への逃避」なのです。 近代の人間化、教育の人間化が求められる今日、必要なのは近代学校教育の再検討であるのです。批判的に、しかし、真摯に、希望を失うことなく、自らも行動し、発言し、未来を語れる。そんな人間像が、いまの最高裁の判断、大阪府の条例の先に、見えないのです。 日本は変わらなければならない。にもかかわらず、出される改革は後戻りするもの、保守的なものばかり。
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| 2011-06-03 10:33
| ○子ども支援・教育の課題
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