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日本語の学校 声に出して読む<言葉の豊かさ>

372-3(1593) 日本語の学校 声に出して読む<言葉の豊かさ>
鴨下信一、平凡社新書、2009

「日本語は階級遵守語」「日本社会の○△□」、しかし、わたしたちは日本語で話し、日本語で考え、日本語で未来を築いていく。ならば、日本語から自由になる道は?

わたし、小説など読むの、あまり好きじゃない。週5でも紹介していないけれど、基本的にそれほど読んでいない。脚本家のワークショップなんて参加して大丈夫? ということで、『日本語の学校』申し込みました。書く方かと思っていたんですねぇ。

行ってみると、そこは「朗読」の世界。準備された9つのテキストを、一人ひとりが読む。その朗読に対して、鴨下さんがコメントする。一人当たり10分程度。読み自体は2分程度で終わる分量。

鴨下さんは、「素人、初心者から玄人まで、まざっているのがおもしろい」とおっしゃる。なるほど、27人の朗読を聞いていると、彼のいわんとするところがわかる。

つまらないのだ。職業的な読みは。コメントの材料がとぼしい。
だからって、「うまい」わけじゃない。

「こういう人、いっぱいいるのよ」「うまくなれない」

わあ、初心者で良かった! 素人で助かった! こりゃきついワークショップだわ。

「声に出して読む」ブームの開拓者は、斎藤孝さんだろう。でも、読む練習をしたいのであれば、鴨下さんのこちらの本をおすすめします。

小学校までは音読するけど、中学校以上になるとあまりやらない?

でも、この本を読んだら、「あああ、生徒といっしょに、読んでみたい」と思うはず。いまなら、地方地方の名文もあるだろうから、それを味わうのもよいではないか。

事細かに、鴨下さんは読みのレッスンを、この本でしてくれている。その触りだけ、紹介しておく。「基礎編」に紹介されている6編の文章それぞれの「ドリル1.2.3」である。


作品   作者    ドリル1    ドリル2    ドリル3
基礎編レッスン1  坊ちゃん  夏目漱石
自分で句読点を打ち直し、間をキチンととって句切り、声に出して読んでみよう。
大きく間を取ったり、スピードの変化をつけて、とにかく笑わせてみよう。
どうしたら、歯切れ良く読めるだろう。特に言葉の語尾を工夫してみよう。

基礎編レッスン1  子供たちの夜  向田邦子
自分で句読点を打ち直し、間をキチンととって句切り、声に出して読んでみよう。
大きな声でなく、このテキストを読む練習をしてみよう。・・ここに出てくるいろいろな音を表す言葉を、出来るだけ感じを出して読んでみよう。
レッスンに従って、よりハイレベルな句読点の使い方を学ぼう。

基礎編レッスン2 雪国 川端康成
文の中の「動き」の言葉を探して、読むスピードの変化をつけてみよう。
例文前半の場面を出来るだけ映像的に鮮明に再現してみよう、特に人物の位置関係を。
修飾語と被修飾語、どちらを重要に読んだらいいか、よく考えてみよう。

基礎編レッスン2 菊の香り 阿刀田高
例文のラストのところで、場面を映像的に再現してみよう。特に親子の位置関係を。
この特異な二人称の文体を、「あなた」に注意して読んでみよう。
タイトルの「菊」という単語を、あなたは菊らしく発音できますか、その練習をしよう。

基礎編レッスン3 幻談 幸田露伴
難しい漢字を読もう。旧仮名づかいに慣れよう。
オノマトペとは、どんな言葉か、その特長を知ろう。
文の構成・構造とクライマックスの作り方を知ろう。

基礎編レッスン3 死者の書 折口信夫
難しい漢字を読もう。旧仮名づかいに慣れよう。
オノマトペとは、どんな言葉か、その特長を知ろう。
文の構成・構造とクライマックスの作り方を知ろう。

ねぇ? 読んでみたくなったでしょう?

わたしと読み仲間になってあげてもいいという方、募集中!
by eric-blog | 2010-11-18 08:58 | ■週5 プロジェクト10
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