351-2(1524)絵本が目をさますとき
長谷川摂子、福音館、2010
保育士として絵本の読み聞かせを始めた著者が、「母の友」に連載した絵本論をまとめたもの。物語の作者でもあります。
絵本の世界というのは、子どもと大人と絵本の三者の「気」が創り出す空間なのだと著者はいいます。だから、大人である自分自身も楽しいと思える本でなければ読んでこなかったと。
絵本には「存在の不安」を受け止めてくれるキッチュな絵本と物語絵本がある。キッチュな絵本は、安心感につながり、安心感がある安定した子どもが、物語の中に遊ぶことができるのだと。
子どもに絵本を読み聞かせる時間は、大人にとっても子どもにとっても、人生のゴールデンタイムなのだと。そして、その時間は生ものだから、継続することが大切だと。
これからゴールデンタイムを持てる人が、うらやましい!
田端に住んでいた頃、お隣の4人兄弟姉妹のおうちは、600冊を超える絵本でいっぱいだった。お父さんは、この本はぜったい処分したりはしないのだと言っていたなあ。
いま、わたしが読んでいる本は、ほとんどが図書館で借りたものだけれど、子どものための絵本は、買うものも、多いのだろうねぇ。いつも、いつまでも、手もとにあってほしいもの。
PLTの新しいテキストは『幼児期からの環境体験』。そこに紹介されているReading Gonnections読み物による発展のほとんどが、絵本である。
昔話の絵本で、著者が紹介している『三匹のこぶた』『ふくろにいれられたおとこのこ』など、その昔話の「背景」がどれだけていねいに描き込まれているかによって評価しているのだと著者は言う。ところが、イギリスやフランスの昔話であるそれらの物語の挿絵を描いているのは日本人なのである。
今回の発展教材探しの苦労は、実はそういう絵本の特性にもある。お話のルーツは多様であるのに、描いている人、再話している人、出版社などが、日本のものの方が、多い。もちろん、共通しているものもあるのだけれど。
ワークショップや参加型学習というのも、三者の気のたちのぼる成長の場であるのだよね。「絵」あるいは「絵本」でアクティビティを作ってみますか。