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妹とバスに乗って

342-1(1486)妹とバスに乗って
レイチェル・サイモン、早川書房、2003
原著 Riding the bus with my sister 2002

障害のある妹と、作家であり大学でも教えている忙しい姉の交流を描いたもの。
姉(この本の著者)は、忙しさで自分自身を保っているような人。一人で生活している妹が、「一年間、わたしと一緒にバスに乗ってみて」と提案する。

妹は、朝の5時半の始発バスから、夕方まで、市内のすべての路線バスを乗り継いで一日を過ごす。バスの運転手の多くとは仲良しで、受け入れられている。

バスの運転手と客は、ファーストネームで呼び合い、会話する。
ベス(妹)は、運転手の右手後ろ、バスの昇降口すぐのところがお決まりの席だ。
姉は、妹と運転手のかかわり、交流を通じて、障害のある妹をサポートしてやろうとする運転手の心や考えに触れ、バスで展開する人間的な関係や交流を(いいのも、悪いのも含めて)、それに対して妹がどのように励まされたり、生き延びる術をみにつけてきているかを見る。
そして、彼女は、割り切れないままにひきずっていた自分自身とパートナーとの関係、人生の味わい方を取り戻していく。

日本の都会のバスでは考えられないなあ。

ベスの知的障害は軽い方で、以前はスーパーで働いてもいた。しかし、退屈な仕事にやる気が続かず、やめてしまって、いまは、障害者に対する援助によって暮らしている。

ケア・コーディネーター、医療関係支援者、日常のサポートなど、障害者支援の体制も垣間見え、以前紹介した子どもの養護プログラムの支援体制とも合わせて、興味深い。というのも、ベスも「グループホーム」に入っていたのだが、個別支援体制に援助プログラムが移行したために、一人暮らしになってという経緯が、子ども養護を家庭単位でというのに共通しているからだ。

人が生きるのをサポートするのは、人の心なのだということがしみじみ伝わってくる物語だ。


『きょうだい』は、障害のある人の兄弟姉妹として育った人々の物語。

-- 子どもの心を手にいれるために捨てる心の三大ゴミ--

「決めつける」「支配する」「正しくあろうとする」

---心のシンプルライフ--------ヒュー・プレイサー----

by eric-blog | 2010-03-23 12:32 | ■週5プロジェクト09
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