340-2(1477)君の笑顔に会いたくて 保護司ロージーが走る!
大沼えり子、KKロングセラーズ、2008
テレビドラマで、高畑淳子さんが保護司役を演じていた。川越のローカル放送局を舞台にした「つばさ」を見ていた身には、ラジオ局の風景とメンバーがだぶって見えた。それが、この大沼えり子さんの実話に基づいたものだと知って、早速読んだ。もう一冊『この想いを伝えて・・・』も既刊。ドラマでは「あゆみの丘」と紹介されていた少年のための施設も、実際にRosy Bellとして、大沼さんが建設を願っているものだ。
http://www.rosybell.jp/
罪を犯して保護観察になる少年たちは、パワーがあふれている。しかし、どうすればいいのかわからない。
著者自身の息子さんのことも紹介されている。学校で認められず、自分がわからなくなっていく。それが、担任がかわり、クラブ活動でも引っ張ってもらうことで、だんだんと自分を取り戻していく。
大沼さんが保護司を引き受けようと思ったのは、小学校の頃によく遊びにきていた近所のある男の子の変化だった。
保護司を引き受けて、しばらくしてから、その子のケースが持ち上がる。
ずっと、心配していたのだと。
なぜ、こんなにも「親」にしばられているのか。とも思う。しかし、多くは、「親」の立ち直り、「家族」の関係の取り戻しが、少年の立ち直りでもあるのだ。
その関係に入っていくのは、大変なエネルギーが必要だ。
非行、犯罪、というだけで、冷たい目を向けられたり、差別されたりすると、本書の例は言う。しかし、立ち直りを願っている心も、あることを知って欲しい。そんな心をからだで、そしてラジオを通して、少年たちに届けてくれている人に感謝。