[5291]母親になって後悔してる オルナ・ドーナト、新潮社、2022、原著REGRETTING MOTHERHOOD、2016 2015年に著者が「母になったことを後悔する」というトピックで記事を出したら、不信、怒りの書き込みや議論が沸騰。後悔する母は利己的で頭のおかしな傷ついた女性であるという烙印を押される。 14 非難轟々。 著者は2008年から13年にかけて調査し、そのタブーに居場所を与えたいと。 誰の母でもいたくないという願望と現実の苦しい葛藤。 15 多くの西洋社会が女性に母になることを熱心に勧めると同時に、その説得に応じた結果としての孤独を受け入れさせようとすることに対して、目を背けたままになってしまうのだ。 16 感情を、権力のシステムに対抗する手段だと捉えるなら、後悔は一種の警鐘である。母親がもっと楽に母でいられる必要があると社会に警告を発するだけでなく、生殖をめぐる駆け引きと、母になるという義務そのものを再考するように促しているのである。後悔が「選ばなかった道」を浮き彫りにするように、母になった後悔は、社会が女性に選ぶことを禁じている他の道が存在することを示している。「母にならない」のような代替の道が先遣的に消去されているのである。・・・母になった後悔は、女性が何を覚えておくように求められ、何を振り返ることなく忘れるように求められているのかを明らかにするのである。 後悔は、母が常に他者への奉仕を目的とする「客体」であるという概念に反論する一助となる。 17 「母ではなく、母になることを望まない」という著者の立場が、母になった公開についての・・・深い議論を続ける一助となった。 24 「母」と「母でないこと」を社会的に二分類されたカテゴリーにするのではなく、潜在的な味方同士として位置付けるのだ。 1章 母になることの社会的期待 「自然の摂理」「自由意志による選択」 2章 母性を統治する厳格な社会的ルール 「感情のルール」それは実際に現実的にそうなのか 3章 道徳的に許されない「後悔」という感情について。 4章 母であることは「完全」であるのか、それとも欠落か 5章 母であることを後悔していることを話すことにまつわる緊張感 ・母になると、献身し、苦しみに耐え、要求を満たし、見返りを期待することなく利他的である 母にならないことに対する否定的なステレオタイプ 34 それらを含めた社会的圧力の高さ。 いつ、後悔するか。 5章 でも、子どもたちはどうなる? それが「後悔」を口に出すことへの緊張感を高める。 子どもとの関係を危険に晒したくない。 社会秩序を実現したことへの後悔? 子どもを産んだことへの後悔はない。いい母親であろうとしたことはない。離婚もした。 そんな母親であることを子どもは受け入れるしかないよね。それは子どもの人生だから。 #
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| 2024-03-19 10:56
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[5290]基本的人権の事件簿 憲法の世界へ 第七版 棟居快行他、有斐閣選書、2024、初版1997 「基本的人権」で検索すると70件ヒット。一番新しいのがこの本だが、北区には2007年版、2015年版、2019年版がある。文京区には、2019年版と2024年版。ちょっと違いを見てみたいね。 Part 1 自己決定権 事件1 頭髪の自由 事件2 障害者の自由 事件3 母親となる権利 事件4 同性婚の権利 事件5 性同一性障害者の自由 事件6 再婚の自由 事件7 治療拒否の自由 事件8 ダンスの自由 Part 2 新しい人権 事件9 忘れられる権利 事件10 自己情報コントロール権 事件11 自己情報開示請求権 事件12 プライバシーの権利 事件13 氏名に対する対する権利 事件14 平和的生存権 事件15 景観権 事件16 自然の権利 Part 3 元祖・基本的人権 事件17 平等権 事件18 思想良心の自由 事件19 心境の自由・政教分離 事件20 表現の自由 事件21 営業の自由 事件22 転職の自由 事件23 生存権 事件24 参政権 著者らは軒並み1955年生まれ。なんじゃそれ??? #
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| 2024-03-19 09:51
| □週5プロジェクト23
[5289]あの夏、兵士だった私 96歳、戦争体験者からの警鐘 金子兜太、清流出版、2016 戦争を美化する人間にろくな奴はいない。 ベトナムの高官が南シナ海の問題について発言した時、平和的交渉に重きを置きつつ、「わたしたちは戦争というものが何かよく知っているから」というような趣旨の発言をしていた。 What it takes to fight a war. 戦争を始めることは簡単だ。しかし、止めるのは難しい。日本も最後の半年で70%以上の戦死者を出し、多くの都市への空襲を経験した。しかし、それでも、本土での決戦はなかったのだ。沖縄を除いて。とどこか戦場経験者と未経験者の差はあったのかもしれない。 秩父出身。父親は医者。 旧制水戸高校の時に俳句をはじめ、東京帝大に進学。1941年。二年で繰り上げ卒業になり、日本銀行に就職。三日で退職。海軍経理学校に入り、翌年に主計中尉としてトラック島勤務に。1944年。 経理学校への入学が43年9月だったので、12月から始まる学徒動員を免れた。 渡辺白泉「戦争が廊下の奥に立っていた」『京大俳句』のメンバー 大学生は思想性を厳しく監視されていた時代。 そんな雰囲気には、数年でなってしまったのだという。 さて、トラック島に配属。1944年3月。横浜磯子から飛行機で。 すでに島は機能不全状態で、航空機の残骸、沈んでいる艦船。 魚雷の丸胴蜥蜴這い回りて去りぬ 「虚無の島」を無言の葬列が行く 捕虜になって、一年半。帰国の船で詠んだ句。 水脈の果て無炎天の墓碑を置きて去る 日銀に復職してみたら、敗戦で全てが変わったかと思いきや、旧態依然の身分制。 115 きよお!と喚いてこの汽車はゆく新緑の中 128 レッドパージにあって左遷されて行く道中を詠んだもの。 知的野生 生き物感覚 一茶の感覚 荒凡夫 定住漂泊 ■荒凡夫 一茶 白水社、2012 一茶は2万の句を作っている。 59歳で病から立ち直った時、詠んだもの。 109 ことしから丸儲けぞよ娑婆遊び 選者もしている金子さんのお勧めの「土」を感じる俳句。足立威宏。 198 里芋という極上の土喰ふ いいなあ。この句 ■天地悠々 兜太・俳句の一生 Bunkyo DVD Library 、シナリオ採録、2019 2013年10月 94歳 インタビュアー 河邑厚徳 2018年2月6日 平和の句、選者 2月20日 永眠 #
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| 2024-03-18 14:35
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[5288]ことばのバリアフリー 増補新版 情報保障とコミュニケーションの障害学 あべ・やすし、生活書院、2023 「おはよう」「バーカ」 そんなコミュニケーションだってある。 初対面で「わたしはトランスジェンダーです」と自己紹介されたら、なんと返すか。 この「名前」を属性、カテゴリーと言う。 自分自身をなるべく多くの属性で自己紹介してみよう。 女医 有徴 医者 無徴 ふつうと認識するものには名前をつけない。少数派には名前がある。 シスジェンダー、異性愛、墨字、聴者、晴眼者をわざわざは言わない。 わたしは右利きで、異性愛者で、シスジェンダーで、晴眼者で、聴者で、定型発達で、健常者で、和人である 発達しょうがいの生徒に必要な配慮とは、「ふつう」の子と区別され、発達障害的要素を持つこどもの日常生活が円滑にいくよう配慮がなされたうえで、発達障害があるとして差別されないよう「区別しない配慮」が必要となる。・・・「区別して配慮する」のが、「ふつう」の子と可能な限り同じ学習をできる条件を整えるための配慮(=特別支援) 15 カテゴリーなのかスペクトラムなのか。 人はことばで世界を分類している。ことばを何のために使うのか。 知的障害者を排除するもの=言語という障害 39 書き言葉を持つ言語は社会的地位が保障されている 参考文献のリストが素晴らしい。ひらがなで氏名が日表記され、五十音順に並べられている。みやスーーーイ! 識字運動も、被差別部落における識字運動は、決して「やさしい日本語」運動には発展しなかった。言語環境そのものを問い直すものではなかったからだ。 研修の時に、「Ladies and Gentelmen」と冗談ぽくゲーム開始時に言ったことがあった。「それは階級呼称であって、差別的だ」と指摘された。だとすれば、もっと多くの指摘が日本語について、なされるべきではないか。 主人もそうだが、もっとある気がする。「上司・部下」も変えたいものの一つだし。「部長」とかの「長」などは使わない方がいい。 情報保障の観点から、漢字やわかちがきなども検討の余地があるね。 ただ、木村晴美さんは「ろう者は漢字が好き」と指摘しているという。 また、今度読むことにする。 #
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| 2024-03-17 16:11
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[5287]ひきこもりの真実 —就労より自立より大切なこと 林恭子、ちくま新書、2021 これまで20年あまり、ひきこもりの実態が知られないまま支援が作られたため、当事者のニーズとは合わず、解決にならないまま時間ばかりが過ぎた 「働かない」「甘え、怠け」 若い男性がゲームばかりしている。などのステレオタイプ。 ひきこもりUX会議(Unique Experience)は実態調査を2019年に実施。 1686人回答。 ひきこもりの平均年齢は30代が36.1%で最多。二番目は40代27.1% ひきこもり期間は8.8年、複数回に弥。 就労支援サービスなどに課題があると感じる人は90%。16 生きづらさの理由 19 こころの不調 74% 対人恐怖 63% 自己否定感 75% 経済的不安 71% 引きこもることで楽になるのではなく、生きづらさが増す。 4人に一人が困難な時に頼れる人がいない。 親がいても、決してリッチではない。世帯年収は平均より低い。 29 4割が女性 しかし、支援によって開催される当事者会などに集まってくるのはほとんど男性。女性が参加しにくい構造になっている。 45 そこでUX女子会。実態調査 2017 ひきこもりの原因は精神的な不調70%、男制性に苦手意識がある64% 49 女子会のプログラムは次のような構成だ。 60 ・自己紹介 ・テーマ別トーク 4-5人で20-30分で2-3回繰り返す ・告知など 調査はこれらの女子会の出席者などに対して行われた。 一番指摘されたのは支援の課題だ。 86 支援によって傷ついているという。 ・医療サービスの利用72% ・ハローワークなどを利用60% ・行政などによるサービス利用59% 利用した9割が課題があるというのだ。 ・とにかく就労がゴールで、就労後のことなど考えられていない。 ・当事者に対する理解部不足 ・セクシャリティに対する配慮がない ・たらい回しされる ・支援を受けるにも経済的負担、交通費、のせいで支援の継続が難しい ・選択肢がない、女性、40代異常となると相談先もない 良い支援とは何か ・安心できる居場所 ・自己肯定感 ・就職ができた ひきこもりの人が起こした事件の報道でも「ひきこもりだから」という偏見につながりかねない報道があり、異議申し立ての声明を出した。 95 参加したくなる場を「早期発見」「早期対応」に繋げられることが大切。 120 アウトリーチや引き出し屋などは当事者にとっては恐怖。 大阪府豊中市の取り組み=途切れのない支援 第四章 私はなぜ/どのように引きこもったのか 著者自身の体験 立ち直りにつながるいくつかの出会い 第五章 家族にどうして欲しいか 日の当たらない地中の世界 トンネルを抜ける コラム そのとき、妹はどう思っていたか ■生きづらさ 在日 障害 境界知能 髪がない女性 醜面 AD・AHD 発達障害 コミュニケーション障害 不登校・ひきこもり ギャンブル依存 自殺 親ガチャ 男らしさ 女性 社会の周辺 しなくていいこと #
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| 2024-03-17 09:45
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2023年度ERIC主催研修
ESDファシリテーターズ・カレッジ 前期 テーマについて学ぶ 【ESDイシューズについて学ぼう!】 3つのイシューズから課題に気づき、問題解決に取り組む 前期 【テーマ: ESDイシューズについて学ぼう!】 3つのテーマから課題に気づき、問題解決に取り組む 環境/PLT 2023年6月24-25日 国際理解 2023年7月29-30日 人権 2023年9月23-24日 後期 【スキル: ESDコンピテンシーを育てる!】 3つのキー・コンピテンシーで問題解決の力を高める わたし 2023年10月28-29日 あなた 2023年11月25-26日 みんな 2024年 1月27-28日 各講座土日開催です。 TEST教育力向上講座は2024年3月に開催予定。 参加はオンライン受講も受け付けます。お問い合わせください。 参加申し込み: webでの申込はこちらから https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfCwrZxu0NEhmJINrbtxX7knhM_eqIX3Qahd--mdkvgyowGlw/viewform ==問い合わせ== eric(a)eric-next.org メルマガ登録はこちらから。 http://www.mag2.com/m/0000004947.html 検索
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